山梨県にもある馬肉を食べる文化
山梨の馬肉食文化とは
馬肉といえば熊本や会津、長野が有名ですが、山梨でも馬肉を使った独自の料理が親しまれています。
山梨はかつて地理的条件から富士山の信仰登山が盛んで、登山者の荷揚げ用に馬が数多く飼われていました。そうした背景から馬肉も安く手に入り、食する習慣ができたともいわれています。
富士吉田市の多くの居酒屋では馬刺しが提供され、薬味にはおろし生姜が添えられています。
郷土料理百選に選ばれた「吉田うどん」に馬肉
2007年に農林水産省が各地に伝わるふるさとの味から選定した「農山漁村の郷土料理百選」に、山梨県は「ほうとう」に次いで「吉田うどん」が選ばれ100選の中にこの二つがランクインしました。
「吉田うどん」は噛めば噛むほど味の出る硬めの麺の美味しさが魅力ですが、具材にも特徴があります。キャベツ・にんじん・油揚げ・甘辛く煮た肉が入りますが、その肉に「馬肉」が使われていて、山梨が古くから馬肉文化が受け継がれてきた歴史を感じる事ができます。
ご馳走だったとされる「吉田うどん」
「吉田うどん」は山梨県の富士山北麓の気候と風土の中で生まれた粉物文化の一つで、粉物食の代表として「ほうとう」があります。
富士山北麓の富士吉田市は標高800mほどの冷涼な気候で、富士山の麓であることから溶岩流や火山灰土の地質となっていて、昔から稲の栽培に不向きでした。
近年は栽培技術の発達により稲作も可能になりましたが、それまでは稲作ではなく小麦、大麦、蕎麦などの雑穀類の栽培を行なっていました。
小麦、大麦を粉にして水でこね、汁に野菜と共に入れて煮て食べる“ホウトウ”は一般家庭の常食でした。一度茹で上げ、茹でた煮汁を捨てるうどんは贅沢な食べ物とされ、お客様をもてなす料理として扱われていたようです。
うどんは白くて長い形をした食べ物であることから、長く生きられるように、末永く幸せであるようにと言った願いも込められていて、お祝い事に食べられる縁起の良い食べ物でもあったようです。